活動報告

江成道子さん「働き方改革に必要なことは、働き方教育」|7月11日さかえ横浜会議

7月11日のさかえ横浜会議は江成道子さんにご講演いただきました。
さかえ横浜会議では一昨年の7月11日に続いて、2度目のご登壇です。

こしいしかつ子、江成道子さんとご一緒に

子どもが貧困しているのではなく、貧困の大人のもとに生まれた子ども
一昨年の講演テーマ「子どもの貧困」の際には、こうした強いメッセージを耳にして、目からウロコが落ちる体験をされたとのアンケート結果が数多く寄せられました。

温かい食事を提供してあげる「子ども食堂」や、一緒に取り組む「学習支援」など、親代わりの支援をすることはとても大切です。
これに加え、子どもを取り巻く大人自身が本当に自立し、貧困の連鎖を停めなければならない。そのために必要な支援を考え取り組む。
そうでなければ子どもは自立した大人に成長できない。
まず大人が、人としての自信を回復しなくては、また元の貧困情態に戻ってしまう…といったような、実に本質的な内容でした。

今回、経済誌の『Forbes』が次世代の担い手経営者99人としてイノベーションを特集し、江成道子さんも99人の中のお一人に選ばれました

これは、大手雑誌が取り上げるほど江成道子さんの活動が「斬新である」という証しです。
ですが、強調すべき本質は、『Forbes』のような大手経済誌でさえ、これまでの大企業優位の社会構造から、江成道子さんのように一人で立ち上がってジワジワと社会貢献を拡げていくことで、気がつけば「経営者」となっていくような資本主義社会の変化に気付き、そのスタイルを認めているということです。
与えて与えて、与え合うことで成立するお互いの豊かさが、ひとりの女性と230のパートナー企業の間で、すでに成立しているのですから。

以下に講演の内容をごく一部ですが列記してみました。

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《今講演のテーマ「働き方改革に必要なことは、働き方教育」》

  • 行政・公共機関は、シングルマザーには生活保護を紹介してしまう。自立促進ではなく「保護」
  • 稼ぐ道、自立する道を選択した途端、シングルマザーへの支援は薄くなり、心が折れるような厳しい現実に直面する
    →バッサリと区別され、穏やかな支援の仕組みがない。
  • シングルマザーに限らず「自立したいという欲求」に応える支援がない
  • 会社(企業)は「社会」。社会のルールを知ることが働く人に求められる
    →社会はまだまだ男性中心。
    →家庭内でも同じことが言える。社会性を身につけている男性は、家庭に戻って社会性のない女性との間にズレを生じてしまう。
    →女性が社会性を身につけることは、夫婦の理解を促進する。
  • 国の進める働き方改革は「生産性重視
    →これはまさに女性にとって有利。できることを自分の裁量で行えばよく、子育ての時間を削りたくない人をはじめ、様々なスタイルを自分らしく組み立てればよい。
  • 社会性のある企業は社会性ある社員を求めるのが当たり前
    →江成道子さんの会社では、シングルマザーに社会性の重要さを自覚させる
  • 企業側には、女性の習性を徹底的に理解してもらう
    →女性は大きな売り上げ数値目標よりも、身近な人からのちょっとした尊敬(リスペクト)に応えようとする、など。
    →「私もあのステキな先輩みたいになりたい!」女性にとっては、大きな営業成績よりもロールモデルになることの方が大事。
    →企業は、女性が女性の価値観で理想の高みへ向かうための登山道、「女坂」のような働き方を備えるべき。

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具体例をたくさん取り入れて本質的なお話をしてくれる江成道子さんは、人手不足に悩む企業からもひっぱりだこです。
一人一人へ差し伸べる手で、日本の経済を支える力となる。
そんな気概を感じる江成道子さんです。

近いうちに、またご本人からのお話を直接聴ける機会を持ちたいと思っています。
実現した暁には、ぜひ皆さんも足をお運びください。

江成道子さん
さかえ横浜会議 2018年7月11日 江成道子さん

《追伸》——————-
ちなみに、「シングルマザーの支援」と言うと、すぐに「離婚の推奨か」などと思う人が出たりして、けっこう驚きます。

江成道子さんの話題に限りませんが、
私たちは、自分が情報の受け手となる時、すでに自分が持っている「言葉に対する定義」や「先入観」「思い込み」が、新しい情報に向き合う妨げになるケースがあることを知っています。
さかえ横浜会議では「イノベーション」で栄区を元気にして、さらに首都圏の郊外部の課題を解決したいと思っています。
しかし、先入観に支配されている環境ではイノベーションは起きづらい。
ですから皆さんとご一緒に、新しい情報に接する際には、いったん頭を空っぽにして、素朴な気持ちでワクワクしながら耳を傾ける習慣を培って行けたらいいなと考えています。

江成さんには、今回の講演でも、これまでの私たちの先入観とは違う視点から、熱さと冷静さを持って現状を生き抜く術を「熱く、冷静に」語っていただきました。
「熱く、冷静に」…シングルマザーの問題はこの点でも手ごわさを感じますね!

写真:吉岡一紀|吉岡写真事務所

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【追記】本文中「ひとりの女性と2,000社を越えるという大企業の間で」の箇所を「ひとりの女性と130のパートナー企業の間で」に訂正いたしました。シングルマザーサポート株式会社に登録する会員数はおよそ1,800名です。(2018/7/18)

【追記】本文中の数字を再度訂正しました。「ひとりの女性と130のパートナー企業の間で」だった箇所を「ひとりの女性と230のパートナー企業」にしました。
また追記文中の会員数もあわせて訂正します。シングルマザーサポート株式会社に登録する会員数はおよそ3,500名です。(2018/7/19)

2018年7月16日
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