私たちの暮らしと密接な関わりがある、「個人情報」そして「個人情報保護法」。
どんなものかと聞かれたときに、スムーズに答えられますか?
4月のさかえ横浜会議は、上級個人情報保護士の中山隆さんを講師に迎え、個人情報について具体的な事例やクイズもまじえて開催しました。
個人情報とは、どんな情報を指すのでしょうか。
そして、個人と個人情報保護法は、どう関係しているのでしょうか。
オンラインで実施した今回の会議は、Zoomの機能を活用したクイズもまじえて、楽しく学ぶ時間となりました。
Zoomで参加された方も、参加できなかった!という方も、当日の様子からぜひご覧ください。
<左から 輿石市議、中山講師>
テレビ電話やチャットツール、インターネット通販など、暮らしのなかで何かのサービスを利用したり、発信や活動をしたりするときに必要となるのが「個人情報」です。
そして、個人情報と密接なかかわりがあるのが「個人情報保護法」ですが、この法律が誰の何を守るものなのか。実は誤解されている方も少なくありません。
このわかっているようで詳しくは知らない部分について、事例などもご紹介いただきながら、中山さんからわかりやすくお話をいただきました。
中山さんの講義は、とても内容の濃い、大切な情報ばかりでしたが、ここではポイントをしぼって紹介します。
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◎個人情報と個人情報保護法
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個人情報保護法は、さかのぼること15年前、2005年にできた法律です。貿易の外圧や、住基ネットとの関わりなどから施行されました。
その後、大手企業の情報漏えい問題などにより2015年改訂、来年2022年改訂予定というように、時代と社会情勢にそった見直しがされています。
勘違いしやすいのが、個人情報保護法は私たちの個人情報を保護するものではないということです。個人情報保護法は、事業者がお客様に対して個人の権利権益を守るためのもの。正しい使い方で事業者が的確に個人情報を利用できるためのもの、ということを中山さんのお話で再認識しました。
では、私たちの個人情報が守られる場、権利はないのでしょうか?
いいえ、違います。プライバシー権の保護は、民法 刑法などで保護されているのです。
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◎医療や介護の現場は大変
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*身近な問題ですので、ぜひご一読ください*
個人情報の取り扱いに関して、医療従事者の方たちは、守秘義務により大変な思いをしている、といいます。それは、どんなことなのでしょうか?
医療の現場では、データ利活用の選択権は患者本人にあります。
なんら問題ないように聞こえるかもしれませんが、次のような事態が起こり、時に現場は騒然とするというのです。
【事例1】
Yさんという患者を2人の医師が診ていた。
カルテの共有をしたいが、Yさん本人がOKしないと共有できない。
【事例2】
Sさんという患者が急きょ病院に運ばれた。知らせを受けたSさんの家族がかけつけ、医師に病状説明を求めるが、Sさん本人の同意がないと医師は説明ができない。
Sさんの家族は、なぜ病状説明がないのか!と怒り出してしまう…。
…事例はすべて実例から。現場は大変です。
もしものときにそなえて、病気になったときの病状の説明などについては、家族と事前にすり合わせておくとよいでしょう。
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◎初挑戦!オンラインでクイズ!
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何が個人情報で、どれが個人情報にはならないのか。
明確にわかる氏名などはさておき、なかには判断がつかないと感じるものもありますね。
4月11日には、さかえ横浜会議はじめての取り組みとして、Zoomのアンケート機能を使い、個人情報の認識に関するクイズを実施しました。
みんなで考えて、マルバツ二択のクイズにその場で回答。
参加者全体の回答はどっちが多いかも見ながら、正解もその場でわかる!
クイズ番組に参加しているような臨場感に、参加しているみなさんの笑顔もイキイキとしていました。
当日の様子をご覧ください! 個人情報クイズ
この他に次のような問題も出題されました。
「運転免許証番号は個人情報ですか?」
選択肢:個人情報だ / 個人情報じゃない
正解:個人情報である
「携帯電話番号は個人情報である、マルかバツか」
選択肢:もちろん個人情報だ / 個人情報じゃない
正解:個人情報ではない
#携帯電話のアドレス帳は個人情報となりますが、番号だけであれば、個人情報とはなりません
ポイントは、電話番号などバラバラの情報は、なんでも常に個人情報となるわけではないということ(ケースによる事項も)。
それらが集まり、いわゆるデータベースのカタチを成すようになると個人情報となります。ここをしっかりとおさえましょう。
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◎個人情報保護法に抵触したらすぐ罰を受けるの?
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故意であってもなくても、個人情報保護法に抵触したらすぐに罰を受けるのでしょうか?
答えはノーです。ですが、違反してよいというわけではありません。
不適切な個人情報の取り扱いについては、当時者同士の話し合いにより解決となりますが、それで解決しない場合は、個人情報保護委員会(国の機関である委員会)による検査警告命令が出ます。そして、命令に対して改善など何もしなければ罰則を受けます。
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◎個人情報取り扱い事業者って?
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企業だけでなく、次のような組織や団体も個人情報取り扱い事業者にあたります。
・各種組合
・サークル
・団体
これらの組織では、加盟者または利用者の名簿が存在するケースがほとんどかと思います。名簿に記載されている情報は個人情報です。次の項目を明確に示して、個人情報を取得する側、提供する側どちらになっても、安心して活動を行いましょう!
個人情報取り扱いのポイント
1)利用目的を提示する
何に使うかを明確に伝える(それ以外の目的では使えません)
2)本人の同意を得る
口頭でもよいですが、書面やメールなど文字に残すのが推奨
3)適正に取り扱う
第三者への提供が必要な場合は、事前に本人の同意が必要です(本人の生命の危機など有事を除く)。
このほか、データの漏えいや改ざんなどが起こらない状況下で管理することもとても重要です。
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◎質疑応答 みんな気になるLINEのことも
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参加者からは、たくさんの質問がよせられました。一部ご紹介します!
Q
川辺の清掃、愛護会の組織を作っています。名簿をみなに配っており、その同意は得てないですが、必要ですか?
A
同意をとりなおし、名簿の作り直しが必要です。
清掃をし、川をきれいにという有志の活動は、素晴らしいことです。よい取り組みと団体を守っていくためにも、実施をしましょう。
同意を得るときは、利用目的を提示してくださいね。
例:川の清掃活動にのみ使用します
Q
LINE問題を聞きたいと思い、参加しました。
あれだけ騒いているのに、明確な情報が出ない。知り合いも何人かLINEを辞めています。
実際、どうなのでしょうか?
A
行政のなかには、予約システムなど使わないといっているところもあり、不安に感じてしまいますよね。私は、使用は問題ないととらえています。
たしかに、海外にデータがありましたが、この1年でデータを国内に移すと発表しています。継続利用して問題ないという見解です。
Q
元官僚の方の動画をよく見ます。その方はLINEを使っていません。有識者だと思っている方が利用を避けているのを見ると、やっぱりLINEを使うのは怖いなと感じてしまうのですが、どうでしょうか。
A
LINEの情報は暗号化されていて、LINEの社員でも、トークをはじめとした他人のデータは見られません。しっかりと管理されているので、問題ないというのが私の見解です。
個人のデータやトーク内容などは、運営会社の社員でものぞくことはできない方法で管理されていることをふまえて、ご自身の信条で利用されるとよいのではないでしょうか。
…
盛りだくさん、あっという間に時間が過ぎるとても有意義な講義、そしてディスカッションでした。
当日参加した方たちに向けて、輿石市議からは次の言葉がありました。
この先も、さかえ横浜会議は続けていきます。
先々までのテーマはあえて設定せず、いまこの状況で、次はなにをやろうかと考えながら開催をしています。
「こんなテーマを扱ってみませんか?」というご提案やお声掛け、
「その話題については私がお話できますよ!」という方のご参加、大歓迎です。
「こんなことについて知りたい」というご要望もいただきたいです。
来月 5月11日のテーマは、まだ決まっていません。
輿石市議からの「みなさんと学ぶ場をつくっていきたい」という言葉を、あらためてお伝えいたします。
ぜひ、ご希望をお聞かせください!
守るべき暮らしってなんだろう。
知るべきこと、いま起こすべき行動は?すべての発信は、さかえ横浜会議から!