日本が誇る〝立ち直りを支える〟制度「保護司」

犯罪や非行をした人も立ち直るチャンスが必要です。処分が済んだ後、地域社会に戻ることが再犯防止につながることは、本人にとっても社会にとっても重要です。
更生保護制度のひとつに「保護司」というものがあります。
「保護司」は、一度は加害者となってしまった対象者が、それぞれの償いを終えて再び一般社会に帰る際に、スムーズに日常生活に戻るための手伝いをします。

保護司法の第1条には、保護司の使命が次のように掲げられています。
「保護司は、社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者の改善及び更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することを、その使命とする」
http://www.kouseihogo-net.jp/hogoshi/about.html(全国保護司連盟ウェブサイトより)

このような重大な職務に民間の篤志家が無償で従事する制度は世界でも類を見ません。
この制度の起源は明治時代まで遡るといわれています。

活動拠点として、サポートセンター設置を

保護司の具体的な活動の柱は定期的な面接ですが、その面接は原則保護司の自宅で行います。
家庭の雰囲気の中で、日常生活を肌で感じ取ることも立ち直りには大切な要素と考えられているからです。
面接の際には、双方のプライバシーへの配慮から、保護司の家族と対象者が触れ合う事のないような配慮も求められます。

ところが昨今の住宅事情では、必ずしも出入り口が複数ある住宅ばかりではないため、マンションなどでは、時間をやり繰りするなど工夫して行われているのが現実です。
立ち直りを支える活動への理解は充分にあっても、条件が合わないために関わりを断念せざるを得ず、結果、保護司の担い手は減る一方です。

そこで法務省は、各地区に「保護司サポートセンター」を設置することとしました。

しかし、横浜市はこのサポートセンター設置を含めた保護司の活動の支援において、他の自治体よりも対応が遅れており、見通しも立っていないのが現状です。もちろん、現場では多くの方々の努力が重ねられています。
そこで、私は2017年10月の横浜市会にて林文子市長に対して質問をしました。

これまで、横浜市の組織の中では保護司サポートを担当する部署もなかったのですが、質問をきっかけとして、横浜市健康福祉局地域福祉保健部が対応を始めました。
今後は、各区の実状に合わせて、必要な対応が前進しますよう私も引き続き取り組み継続します。
皆様のご意見お待ちしています。

◎法務省ウェブサイト 保護司サポートセンターとは
http://www.moj.go.jp/hogo1/kouseihogoshinkou/hogo02_00053.html

◎横浜市会より 更生保護ボランティアについて
横浜市会インターネット中継
平成29年度 第2回定例会|5月26日|一般質問(9分47秒〜11分53秒)

◎同 議事録より該当部分を抜粋
次に、更生保護ボランティアに対する横浜市の支援について伺います。
 更生保護とは、罪を償い、再出発しようとする人たちの立ち直りを導き、助け、再び犯罪や非行に陥るのを防ぐ仕組みです。犯罪や非行をした人が立ち直るためには、本人の努力はもちろん必要ですが、社会に居場所がないために罪を重ねてしまうという悪循環があることも事実です。悪循環から脱し、立ち直っていくためには、保護観察所を初めとする国の機関だけではなく、社会を明るくする運動の推進強化など地域の人々の支援、協力が不可欠です。そして、その先導となって地域と更生保護のかけ橋になっている保護司などの更生保護ボランティアの方々の活動は明治時代以来の伝統が受け継がれており、世界的にも注目されています。昨年12月には、神奈川県及び県内の市町村で保護司として活動している地方議員による神奈川議員保護司懇話会が設立され、横浜市会議員では5人の議員が参加していると聞いています。しかし、近年、保護司適任者の確保が厳しくなっており、神奈川県内でも充足率が89%と聞いておりますが、保護司確保のためにも必要な施設として更生保護サポートセンターがあります。同センターは、罪を犯した人や非行のある少年の立ち直りの支援や犯罪、非行防止活動等地域における更生保護活動の拠点として法務省が保護司会及び地方自治体との協力、連携のもとで設置を進めています。本年1月1日現在、神奈川県内では9地区に設置されておりますが、まだまだ数が足りていない状況です。再犯、再非行の防止については国だけが取り組めばよいというものではなく、地方自治体も積極的に関与していく必要があり、そのためには更生保護サポートセンターの新規設置などを行うことで保護司などの更生保護ボランティアの活動を横浜市として支援していく必要があると考えます。
 そこで、更生保護ボランティアに対する横浜市の支援について市長の考えをお伺いいたします。

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